サンタの国の1年について描かれている絵本
黒井健氏が絵を、松本智年氏と一色恭子氏が原案、嘉納純子氏が文を担当されたこの本は、1990年に第一版が株式会社偕成社から出版された。
全国学校図書館協議会や日本図書館協会(両者とも筆者はよく知らないが)が選定した書でもあり、確かにその内容は素晴らしいと感じる。
内容は一言で申し上げると「サンタの国の1年はどういうものか」である。
この本を初めて見た時「そうかサンタは12月だけではなく、一年中活動しているのか!」と筆者は気付かされた。もちろんその中身についても全く想像したことがなかった。
そんな盲点を取り上げている部分が、まずこの本の企画の1番の素晴らしさである。
以下ではその他に感じた素晴らしさについて、2点記載する。
素晴らしい点①クリスマスの本なのに、一年中読める
前述した様に、この本はサンタの国での1年の出来事が紹介されているため、物語は「1月」から始まる。
そして「見開き」毎に各月の様子が等しく描かれている。
つまり仮に夏にこの本を読んでも季節感のズレを感じることが無い。
「(8月をめくると)今頃はサンタさん、海で遊んでるんだね」といった風に、同じ時期のサンタと自分達を重ねて読むことができる。
他のクリスマスの本だと11〜12月頃しか読めない(雰囲気が出ない)本が多いが、この本では年中楽しく読める点が素晴らしい。
素晴らしい点②「現実」が絶妙に入っている
また描かれているサンタの生活が、絶妙に現実感を取り入れている点が面白い。
例えば、子供たちにプレゼントをどの様に配るかは「調査」→「会議」などを経て決定されている部分は「もしかしたらそうかもしれないな(笑)」と大人でも思ってしまう。
その他にもトナカイの育成やプレゼントの作り方などが描かれており「意外とサンタも年中忙しいんだなあ」と親近感を覚えたりもする。
夢いっぱいのサンタの世界にこういった「現実」が織り込まれている点が、この本が(現実思考寄りの)大人にも共感を得られるポイントなのかもしれない。
まとめ
もちろん1番の盛り上がりは12月のクリスマスである。
この頃になると1年間のサンタの様子(苦労)を知り、迎える12月はこちらも感慨深い。
また絵も優しい雰囲気が出ていて、とても読んでいて落ち着く絵本である。
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